価格は500㎖で¥3,200(税別)です。
レース用なので、ストリートユースには向きません。
ストリート用とレース用って何が違うのか?それは吸湿性の差です。
簡単に言うと、ブレーキフルードってのはフルード沸点ってのがありまして
ドライ沸点とウエット沸点があります。
ブレーキフルードは水を吸収しやすい性質があります。
これはストリート用でもレース用でも一緒です。
レースなんかですと、ルマンなどの耐久レースを見ているとわかりやすいですが、
夜走っているときにコーナー手前でブレーキング。
ローターが真っ赤になるのを見たことありませんか?
バイクではローターが真っ赤になっているのをあまり見たことありませんが
ブレーキと言うのは、想像以上に熱を持ちます。
ブレーキとは、「運動エネルギーを熱エネルギーに変換する装置」です。
もちろんですが、この熱エネルギーを放熱しなければなりません。
この放熱キャパを超えると、「フェード現象」と言って、ブレーキパッドなどの摩擦材が
異常加熱により表面の材質が変化してしまって効かなくなる現象が起こります。
フェード現象に関しては、パッドの問題だったりと今回のお話の焦点とズレますのでまた機会のある時にお話しします。
そしてもうひとつ、ブレーキが効かなくなる現象として、「ベーパーロック現象」と言う物があります。こちらはブレーキシステムを動作させるブレーキフルードが沸騰してしまい、エアを噛みこんでしまう現象です。
なぜフルードで満たされているはずのブレーキシステムで空気が入るのか?
これ実は水分が混入している場合がほとんどなんです。
想像してみてください。
ブレーキマスターからブレーキホースを経由してキャリパーまでフルードで満たされています。
そこにわずか一滴でも水が混入したとします。
そして、ブレーキングで加熱されます。水は一気に水蒸気になろうとします。
(ちなみに水の沸点は1気圧の世界では100℃です)
ハードに峠を走ったり、サーキットを走れば真っ赤にならないローターも100℃は余裕で超えます。
ともなれば混入した水は水蒸気になり、一気にブレーキシステム内に気泡が生じます。
これがベーパーロックです。
恐ろしいですね。
ちなみにほんの小さなエアが混入していたとしても空気は膨張しますので、同じ現象が起こります。
レース用のフルードはドライ(水が混入していない)沸点が非常に高く作られていますが
低温時の粘度特性がよくない。
ましてや、ものすごいスピード走るのに、吸湿してしまったフルードではあっという間に制御不能。
なのでレース毎に交換が基本となります。
ちなみに吸湿した状態(おおよそ約3.7%吸湿)の時をウエット沸点と呼びます。
ブレーキフルードはDOT5.1の場合、ドライ沸点は260℃以上・ウエット沸点は180℃以上と定義されています。
おおよそ大半のメーカーさんのレース用フルードは320℃以上は当たり前に作られていますが
レース用はDOT規格にのっとっていません。
じゃあ、レース用フルードを使えば高性能でいいじゃない!と思ってしまうのですが
何故レース用とストリート用と分けられているのか
それは、低温時の粘度特性や、ph値を犠牲にしてでもドライ沸点を引き上げることに注力しているからです。
低温時粘度特性が悪いとどうなるか?
例えば真冬の時のブレーキ操作が悪くなったり、朝一番のブレーキタッチが異常に硬いとか、ABS装着のマシンだとABSの作動性が悪くなったりします。
それとph値が犠牲になっていますので、長期間同じフルードを使用し続けたりすると、ブレーキ廻りの部品の腐食が激しくなったりします。
なので、ストリートユースに向かないわけです。
ストリート用もレース用も同じことが言えますが、ブレーキフルードの主成分である
エチレングリコールは、空気中の水分を吸湿しやすい特性を持っています。
ちなみにストリートでよく使用するDOT4のブレーキフルードの場合、約2年使用すると
フルードの沸点はおおよそ80℃近く下がります。
それだけブレーキフルードの性能は劣化すると言う事です。
最低でも2年に一度はブレーキフルードの交換をオススメします。
車検のあるバイクに乗ってる人は車検時でいいと思いますし、
車検の無いバイクの人は2年に一回は換えましょう。
自分で作業を行うには経験のある人にキチンと指導してもらうか、お店に任せましょう!
ここをケチって止まらなくて・・・・なんてことにならないように。
ちなみに当店では車検でお預かりのマシンは有無を言わさず交換します。
もちろん作業は定期点検整備代に最初から含まれておりますので追加料金はフルード代だけでOKです!(車種によって使用する量に違いが出すぎるのでご了承くださいませ)
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