前回負圧式キャブと強制開閉式の構造とメカニズムをざっくりですがお話しました。
前回のおさらいをすると
負圧式はファジーでコントローラブルだけど、俊敏にはダイアフラムが動かないのでダルさもある。
強制開閉式は、ダイレクトにスロットルに反応してくれるので欲しい時に欲しい分引き出せる。
レース用キャブになるとセッティングパーツも豊富。
と書きました。
とはいえ、負圧式でも強制開閉式でもガソリンを空気とミクスチャする基本構造は一緒です。
よくメインジェットが○○番で~なんて話はどちらのキャブでも基本一緒。
番数が大きくなればガソリンの供給量が増えますので、混合気は濃くなります。
反対に番数が小さくなれば供給量は減りますので混合気は薄くなります。
はて、薄いだの濃いだのと出ましたが、濃ければ良いというわけでもなく、薄いからダメと言うわけでもなく、
ガソリンを燃料としているエンジンにとって、一番良いとされている空気とガソリンの比率があります。
理論上では、空気14.7gに対してガソリン1gといわれております。
ま、実際にはこの黄金比を作り出すのは至難の業でして、あくまで理論上のお話。
なので理論空燃費と言うわけです。
アナログなキャブレターでは濃い時もあれば薄めのときもある。
ホントざっくりな言い方になりますが、FI(フューエルインジェクション)の場合、これをECUのプログラムで行うことにより、より最適な状態へセッティングが可能となるわけです。
インジェクションコントローラー(ラピッドやaRACERがこれに該当します)を使ったりとかね。
今回はキャブのお話なのでコントローラーはまた今度。
話を戻して今回はガソリンの量を決めている担当さんの居場所と簡単な役割をご紹介
はい、これがFCRキャブのフロート室を取り外してひっくりかえした状態です。
MJ:メインジェット アクセル開度半開~全開までのガソリンの供給量を担当してます。
最大出力に大きく関係する部品です。
ここの番手が合っていないとパワーも出ないですし、大外しの番手をつけると
全域にも影響がでます。
PJ:パイロットジェット 見やすくするために外してあります。
アクセル全閉~1/4開度くらいまでを担当してます。
主にパーシャルスロットルからコーナー立ち上がりなどでの微妙な
アクセルワークに影響しますんで、キチっとセッティングが出てないと
走っていて気持ちよくないわ、町乗りでギクシャクするわな部分です。
PS:パイロットスクリュー
アイドリング付近を担当してます。
ここはネジ込み式になっていて、ネジを締めこんだ状態から何回転戻すか
で制御してます。
FCRの場合、このほかにSAJ(スローエアジェット)AS(エアースクリュー)が装備されていて、
現場(サーキット)などでのセッティング作業が簡単に行えるようになっています。
スロー系統のセッティングは基本的にPSをいじらずにSAJとASで行う事を推奨します。
それだけセッティングの幅があるんです。
対してこちらは負圧式のキャブ
ジェット類は外してしまったのですが、各パーツの居場所はこんな感じ。
で、負圧式の場合、アクセル開度で表現することが出来ないのです。なぜかというと、スロットルバルブがアクセルの開度と連携していないから。
CVキャブのスロットルバルブはサクションホールといわれる箇所から空気を取り込んでスロットルバルブを上に引き上げるような構造。
これがただでさえ難しいキャブセッティングを更に迷宮入りさせる要因。
アクセルは大きく開けていてもエンジン側からの負圧によってスロットルバルブが常に一定の状態に居ないわけです。
また、エアクリーナーを撤去してパワーフィルターを装着した場合も安定的な圧力差が発生せずにスロットルバルブのサクションホールからの空気がうまく流れず(パワーフィルターなどをつけることで吸い込む空気が量は増えるけど速度が減る)
実はスロットルバルブが全開になってない時もあります。
これには対処方法があるにはあるのですが、割愛します。
CVキャブはとても賢いキャブな反面、FCRみたいな強制開閉に比べそういう気難しいと言うか
紛らわしさも持ってます。
なので、FCRの様なセッティング方法で煮詰めるとハマります。
一回ある程度の所まで出しちゃえば、そこからはあまりズレることはないんですけどね。
0コメント