ピストンスピードって知ってる?

明日、2/13(月)は、午前中店舗不在となります。
皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。


エンジンにちょっと詳しい人なら誰しも聞いたことがあるかもしれない

ピストンスピード。

ご存じの通り、レシプロエンジンってのは、ピストンが上下運動して

それがコンロッドと呼ばれる部品でクランクシャフトにくっついて

上下運動(往復運動)を回転運動に変換してます。

ピストンは上行ったり下行ったりと忙しく動いております。

この往復運動の速度がピストンスピードです。

SRってのは、400のロングストローク版が500なんですが、いったいどれくらいの数値になるのでしょうか?

実際に計算してみます。

ストローク 67.2mm(400)

      84.0mm(500)


これを最高出力回転数の7,000rpm(400の場合ね。ちなみに500は6,500rpm)

で計算してみます。

公式:2×ストローク×回転数/1000×60

(ストロークは一般的にmmであらわされますが、mに換算するために1000で割ります)

整備士試験に絶対出てくるので、整備士資格を持っている人は頭に入ってる

(はず。。。。。ハズデスヨネ)

問題です。

SR400で計算してみたいと思います。

2×67.2×7,000/1,000×60

=940,800/60,000

=15.68(m/S)となりました。

SR500の場合

2×84.0×6,500/1000×60

=1,092,000/60,000

=18.2(m/s)となりました。

SR500のクランクを使って、今度は7,000rpmで計算してみます。

2×84.0×7,000/1,000×60

=1,176,000/60,000

=19.6(m/s)になりました。恐ろしい数字になってきましたねw


では、8,000rpm使い切りのハイパフォではどうでしょう?

2×84.0×8,000/1,000×60

=1,344,000/60,000

=22.4(m/s)です。壊れないのが不思議な数字です。(実際壊れるんだけどね)


つまり何が言いたいかと言うと、500クランクをべースにして、ハイパフォーマンスエンジンを制作する場合、回転数に縛りが掛かると言う事です。

ものすごくよく聞かれるのが

「500クランクを使ったらパワーでますか?」

「500クランク使って、534ccにしたい」

「500クランク仕様の友達のが速くてオレもやりたい!」


はい。合ってますよ。正解だと思います。

馬力だすなら500クランクを使った方が手っ取り早いです。

でも最高速だとか、上までブチ廻したい人には、リスクしかないのがお分かりいただけたかと思います。

ましてやオーバーサイズのピストンを取り付けて、ピストン重量を増やせばもっとリスキーになります。


ちなみにこのピストンスピードの計算式はあくまで「平均ピストンスピード」であることです。

レシプロエンジンでは必ずピストンの上死点と下死点付近ではピストンの動きは止まります。と言う事は、その分を考慮すれば、最大スピードはどんだけ出ているのかは

平均以上なのはお分かりいただけるかともいます。

ちなみに、フォーミュラーのエンジンでも22m/sくらいなんじゃないかなと思います。

(詳しくないから、ぐぐってみて)


では比較対象として、YZF R1はどれくらいなのか計算してみましょう。

YZF R1(RN65Jの場合)※クロスプレーンのヤツね。

ストローク:50.9mm

最大出力回転数:13,500rpm


では、計算

2×50.9×13,500/1,000×60

=1,374,300/60,000=18.9(m/s)となりました。13,500も廻してるのにSR500の7,000rpmより

低い数値です。

つまりどんだけ頑張っても壊れないエンジンが欲しければ19m/s(それでも怖いけど)に

納めておく必要があると言う事になります。

500クランクを使った場合、6,700rpm付近でレブを設定しないと、R1より速いピストンスピードで動かすことになる。

逆に言えば、7,000rpmとか使いたい人には、断然400クランクの方がオススメと言うわけです。

確かにパワー・トルクともに500クランクを使ったエンジンには勝てません。

ですが、最高速などは、とどのつまり回転数勝負です。回転数を上げられなければ最高速は出ない。

しかし、その速度域まで引っ張り切れるトルクが無ければこれも廻らない。

ちなみに400クランクを使った場合、

8、000rpm廻しても17.92(m/s)です。427cc仕様(φ90mmピストン)が面白いと言われる所以はまさにコレ。

とにかく廻せる。それでいて壊れないエンジンを作るには、400クランクがなんとなく良いのが

伝わりましたでしょうか?

逆に言えば、やみくもに500クランクを組めばよいと言う事では無いのもお分かり頂けたかなと思っています。

スロットルを開けた時の弾ける感じは500の方が良いですが、スポーツするには不向きなのです。

ピストン荷重のお話までできればしたいですが、ものすごい難しい話になってきてしまうのでこの辺で。

ちなみに、SR400のクランクは、ショートストローク・ロングコンロッド仕様なので

現代のフォーミュラーエンジンなどの手法と非常に近しい考え方です。

みんな、400クランク、大事にしてね。



9-GATE Motor cycle maintenance/modefy

YAMAHA SR400/500をメインとしてメンテナンス/モディファイを行っているショップです。 SR専門と言うわけではございません。国産車輌であれば排気量問わず、メンテナンスやモディファイを行います。 また一部海外車輌(H-D・BMWなど)も賜ります。

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